50代から注意したい「フレイル」3

「フレイル」を予防するのは、体操と食事と〇〇!?

「フレイル」を予防するのは、体操と食事と〇〇!?

公開日:2020年04月24日

「フレイル」を予防するのは、体操と食事と〇〇!?

加齢とともに気を付けていきたい、フレイル(虚弱)。免疫力の低下にもつながるフレイルを防ぐために、今すぐ自分で始められることがあります。フレイルの原因になる「オーラルフレイル」と「サルコペニア」(筋肉減少症)の予防法を教わります。

法則1:オーラルフレイルを防ぐ「パタカラ体操」

東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター 教授の飯島勝矢さんが、オーラルフレイルの予防と改善にすすめるのが「パタカラ体操」です。

唇と舌の筋肉が鍛えられ、むせて水分や食べ物が気管に入る「誤嚥(ごえん)」を防ぐ効果も期待できます。「早口言葉に挑戦したり、友達とカラオケをしたりするのもオーラルフレイル対策になります。好きなことで唇や舌を使うようにするのが長続きの秘訣です」と飯島さん。

                

パタカラ体操

  1. 大きな声で「パパパパパ、タタタタタ、カカカカカ、ラララララ」と5回繰り返します。
  2. 「パタカラ、パタカラ、パタカラ、パタカラ、パタカラ」を5回繰り返します。

「パ」…唇の閉じる力と咀嚼(そしゃく)力がアップ!
「タ」…口の奥へ運ぶ力がアップ!
「カ」…舌の後方への動きをスムーズにし、嚥下(えんげ)力がアップ!
「ラ」…食べ物を丸める力がアップ!

パタカラ体操

 

法則2:低栄養と筋肉減少を防ぐ「たんぱく質70g」

「サルコペニア」(筋肉減少症)と、3食食べているのに栄養不足でいつの間にか体重が減っている「新型栄養失調」(低栄養)。これらを予防するには、毎日たんぱく質を約70g取ることが重要です。

たんぱく質は体の中にためておけないので、毎日取る必要があるのです。注意したいのは、サーロインステーキを200g食べても、取れるたんぱく質は35〜39gと少ないこと。

「ほとんどの人は毎食たんぱく質を取っていますが、量が少な過ぎます」と飯島さんは注意します。たんぱく質が多い肉や魚、卵などを、毎食片手1杯分取るのが目安です。

1日に必要なたんぱく質

フレイル予防のためには、例えば体重50㎏の人なら60~75gのたんぱく質が必要です。ポイントは、缶詰や総菜を利用し、小分けにしてもよいので肉もしっかり食べること。「加齢とともに、たんぱく質を分解して筋肉をつくる効率が悪くなるので、高齢者は若い人以上にたんぱく質を取った方がよいのです」と飯島さんは付け加えます。
 

出典:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より
出典:「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」より

また、要介護の原因になりやすい骨折・転倒を防ぐには、筋肉をつけるだけではなく骨の強化も大切です。

女性は、更年期以降女性ホルモンの分泌量が減り、骨粗しょう症のリスクが急上昇するので、特にカルシウムと、その吸収を助けるビタミンDとビタミンKを取ってボーンリザーブ(骨量維持)を目指しましょう。カルシウムの多い食品は魚、乳製品、海藻、葉物。ビタミンDは、鮭や青魚、キノコ類からの摂取の他に、日光浴でも合成されます。

 

法則3:認知機能の維持にもつながる「社会参加」も

一人で食べるよりワイワイと。人・社会とつながろう
一人で食べるよりワイワイと。人・社会とつながろう

さらに、フレイル予防に大切なのが、孤食を減らし、人・社会とつながること。「柏スタディ(※)」では、同居者がいるのに毎日孤食の人は栄養状態が悪く、オーラルフレイル、サルコペニアが進み、うつになるリスクが高いとの結果になっています。人と話しながら食べ、社会参加すれば、口の機能や認知機能の維持にもつながります。

※柏スタディ……飯島さんを中心に東京大学高齢社会総合研究機構が進めている調査研究で、千葉県柏市に住む65歳以上の健康な2044人(平均年齢73歳)を対象にしている。

サルコペニアの発症と運動、栄養(食・口腔)、社会参加との関係を調査したデータ
出典:飯島勝矢著『東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣』を参考に作成。運動=1回30分以上の汗をかく運動を週2日以上、1年以上実施している/栄養(食・口腔)=ほとんど毎日4食品群以上食べている、さきいか・たくあんぐらいの硬さの食べ物が噛める/社会参加=サークルや団体などの組織・会に2つ以上入っている

上の表は、「柏スタディ」で、サルコペニアの発症と運動、栄養(食・口腔)、社会参加との関係を調査したデータです。運動をすればサルコペニアは防げると思われがちですが、「運動のみの人」と、「運動はしていないが栄養状態がよく、社会参加している人」のサルコペニア危険度はほぼ同じとの結果に。運動嫌いでも社会参加でフレイルは予防可能です。

「フレイル対策の3本柱は社会参加、栄養、運動ですが、万人に共通のフレイル対策はなく、好きなことを続けてほしい」と飯島さん。いくつになっても人とつながり、健康長寿を目指したいものです。


■教えてくれた人
飯島勝矢さん

飯島勝矢さん

いいじま・かつや 1990年東京慈恵会医科大学卒業。医師、医学博士。東京大学大学院医学系研究科加齢医学講座講師、米国スタンフォード大学循環器内科研究員などを経て、現在は、東京大学高齢社会総合研究機構 機構長・未来ビジョン研究センター 教授。専門は老年医学、総合老年学。著書に『東大が調べてわかった 衰えない人の生活習慣』(KADOKAWA刊)など。

取材・文=福島安紀 イラストレーション=ねもときょうこ

※この記事は2019年3月号「ハルメク」に掲載された内容を再編集しています。


※雑誌「ハルメク」は定期購読誌です。書店ではお買い求めいただけません。詳しくは雑誌ハルメクのサイトをご確認ください。

■もっと知りたい■

【参考資料】
新型コロナウイルス感染症への対応について(高齢者の皆さまへ)-厚生労働省
「長引く外出自粛  高齢者は楽しくフレイル予防を!!」-NHK

■50代から注意したい「フレイル」■

  1. 介護につながるフレイルとは?まずはセルフチェック
  2. 口の衰えから全身フレイルに!口の老化度をチェック
  3. 「フレイル」を予防するのは、体操と食事と〇〇!?←今ココ!
雑誌「ハルメク」
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